原点

誰にでも今の自分の原点というものがある。私の場合、それは3webの故矢野社長との出会いだった。
インターネットプロバイダの事を何も知らないまま、矢野さんに勧められるまま3webに就職したのだが、当然役に立つはずもない。右往左往を繰り返すうちに自信をなくし、結局退社してしまった。しかし、3webで働いた3年半は強烈な印象となって記憶に残っている。おそらく、いまのわたしの行動指針はこのときに固まったに違いない。そういう意味において、矢野さんはわたしの第二の父親だったとも言えるが、何の役にも立たない青二才のわたしを、矢野さんはどのように見ていたのだろうか...。
「お役に立てず、すみません」というわたしに、「それを言うな。一番辛いんや、それを言われるのが」と、酒を飲みながらしんみりと言われたときの、矢野さんの顔を今でも忘れられない。

以下は、有名な「後藤田五訓」の焼き直しであるが、繰り返し矢野さんに植え付けられた、わたしの行動指針でもある。

1. 常に社会の利益を考えよ。会社の利益をあげなければ給料もないが、社会の利益を忘れると会社の利益もなくなることを忘れるな。
2. 自分の仕事ではないと言うな。社内外に限らず、どんどん仕事を奪い合え。そしてお互いに足りないところをカバーせよ。
3. 事実報告を怠るな。よい報告は遅れてもいいが、悪い報告は夜中でも明け方でも構わず上司に告げよ。
4. 必ず期限を守れ。期限切れの120%と期限に間に合った60%では、60%の仕事の方に価値がある。
5. 常に意見具申せよ。「どうしましょう?」と言われても、上司も人間である事から何も出来ない。自分が上司ならどうするか、勇気を持って意見せよ。
6. 命令には服従せよ。多いに意見は言え。しかしいったん決定して命令が下ったら、文句を言わず実行せよ。

この遺伝子を、わたしの下で働いてくれる皆には伝えていきたいと思う。