DOCSIS3.0 CW56 参加ベンダー速報

本来、CWに参加しているベンダー名についてはCable LabsからのPress releaseが終わるまで内緒なのですが、Cable Digital Newsが独自に取材した結果を以下の記事にまとめています。
Vendors Ride First Docsis 3.0 Wave
この記事によると、参加ベンダーは以下の通り。

1. CMTS
ARRIS
Casa Systems
Cisco Systems

2. Cable modem
ARRIS
Motorola
Scientific Atlanta

今回、MotorolaはCMTSの認定取得をあきらめてしまったのでしょうか?
SAはCiscoと合併したので、実質はCiscoとしての認定参加と見なせるでしょう。
結果が出るのは12月15日、うまく行けばDOCSIS3.0認定CMTSが三社から出る事になりそうです。
Casa SystemsのCMTSは日本での実績がほとんどありませんが、この認定取得をきっかけに新参入してくるかも知れませんね。

CableLabs DOCSIS3.0認定作業スタート

Cable Labsにて、Certification Wave 56(CW56)が始まりました。
2007年度CWスケジュール
12月上旬には初のDOCSIS3.0認定CMTSが生まれる予定です。
NDAの絡みもあって詳しくは書けないのですが、、、え?というようなベンダーさんが参加してたり、有名なベンダーさんが参加してなかったり。。。
結果が出たら、また詳しくお知らせします!

Bigband社、CMTSビジネスから撤退

IPO後、急激に株価が下がってしまったり、第三四半期の業績発表直前にCFOが辞任してしまったりと、先行きを危ぶまれていましたが・・・米国時間の10月30日に、CMTSビジネスから撤退する事が正式に発表されました。
これで、CMTSベンダーはARRIS、CiscoMotorola、Casaの4社だけとなってしまいました。。。

WiMAX on 3G(IMT-2000)

みなさま、お久しぶりでございます。
このところDOCSISの話題から遠ざかっておりますが、今回もDOCSIS/PacketCableとはほとんど関係のない話題で恐縮です。
先日20日(日本時間)、ITU(国際電気通信連合)より、Mobile WiMAX IEEE802.16e-2005をIMT-2000の一部として規格化するという勧告がなされました。これで、Mobile WiMAXも3Gの一部となることが決まり、日本での免許取得争いも本格的に熱が入りそうです。
ということで、備忘録がてらにWiMAXについてのおさらいを載せておきます。といっても、Wikipediaにもっと詳しい内容が載っていますので、そちらを参照していただいた方がいいかも。( http://ja.wikipedia.org/wiki/WiMAX

WiMAX
IEEE802.16a/REVd(802.16-2004)として、固定ワイアレス通信用として仕様化。
もともとは2001年に規格化されたのですが、仕様周波数帯が10〜60GHzと、高い周波数を念頭においていたため、見通しが悪い地域では基地局を増やさなければならないということと、世界各地の周波数資源の有効活用を目指し、周波数帯を2〜11GHzに変更した規格が、2004年にまとめられました。
ただし、固定通信を想定していたため、移動しながらの通信やハンドオーバーが考慮されませんでした。

【Mobile WiMAX
上記の問題点を解消すべく規格化されたのが、802.16e-2005としてまとまった、Mobile WiMAX。120Km/hで移動していても通信が途切れないという利便性に加え、802.16hでは動的周波数選択(Dynamic Frequency Selection:DFS)が可能になりました。ただしハンドオーバーについては規格が見送られ、各ベンダーによって独自に実装されているというのが現状のようです。

【Cable Labsとの関係】
現在、Cable Labsでは無線関連の規格化を行っていないので、WiMAXに限らず802.11xについても、実装についてはベンダーに一任するというスタンスをとっています。
WiMAX ForumとCable Labsとの人材交流もないので、しばらくはWiMAX関連製品がDOCSISベンダーから出てくる事はないかも知れませんね。
ただ、WiMAX(802.16-2004の方ですが)の実証実験を行っているCATV局さんは結構いらっしゃいまして、嶺南ケーブルネットワークさんや福井ケーブルテレビさんなどが有名ですね。

【今後の動き】
WiMAX/Mobile WiMAXは、802.11xなどと同様にIPネットワークとの親和性が高いので、移動体通信事業者がWiMAXの免許を取得できればFMCへの動きが本格的に進むのではないかと思います。
けど、北米ではなぜかFMCへの動きが遅いんですよね。。。大手MSOさんもFMCの事業化は先延ばしにすることを決定してしまいましたし。

FMC on Packet Cable

まったく一般的ではない情報ですみません。。。
先週Cable Labsより、Packet Cableの一部としてFMC(Fixed Mobile Convergence)の仕様を規格化しとの発表がありました。
これまで、FMCという言葉だけが一人歩きしていましたが、北米の大手MSOFMCの規格化、採用に乗り出した事で、これから大きなマーケットになることが期待されています。
ということで、あまり必要ではないかもしれませんが、以下要点のみ。
仕様書入手先 : http://www.packetcable.com/downloads/specs/PKT-SP-CI-I01-070628.pdf


1. 規格化の目的
802.11xを搭載したデュアル携帯端末を、Packet Cableと携帯電話網の両方でシームレスに使えるようにする事。
3GPP3GPP2の携帯電話網を使えるようにする事。
現在のPacket Cableネットワークを、無線通信網や携帯電話網などでも利用できるようにする事。
これまで曖昧だった、認証とセキュリティと実際の機能の区別を、ネットワークごとに明確化する事。
どのアクセス回線に繋がっていても、1つの電話番号で発着信できるようにする事。
できる限り、既存の標準化されたシステムを利用する事。


2. プロトコル関連
携帯電話網の規格は3GPP3GPP23GPPとしてはGSM(2Gですが)とUMTSをサポート予定。
呼制御はSIPのみ。
その他は既存のCall AgentやDOCSIS CMTSなどを利用。
WiFi部は規格化されていないので、802.11a/b/g/nどれでも利用OK。


3. HLR(Home Location Register)サーバ
電話番号と端末を紐付けるための機能を担当。
これのおかげで、1つの電話番号を複数の電話端末で使用したり、1つの電話端末で複数の電話番号を使用したりできるようになります。
すでにHLRを運用している場合には、オプションとしてそれらとのインターフェイスも用意する事を想定。


4. VCC AS(Voice Call Continuity Application Server)
携帯電話網とPacket Cable網とを繋ぐ、Gatewayの機能を担当。
VCCサーバとHLRサーバの両方が生きてないと、シームレスに移行できないような気が・・・。


5. PacketCable Dual-Mode Wireless Device
WiFi+SIP3GPP/3GPP2をサポートするデュアル携帯端末が必要との事。うーん、そういう端末を作るメーカーさんっているのでしょうか。。。
あ、そういえばDocomoのN902iLって、SIPでしたっけ。。。


6. PoC AS(Push to Talk over Cellular Application Server)
FOMAで言うところのプッシュトークというやつです。


なお、現時点での規格対象外の機能は以下の通り。。。

1. 緊急呼のシームレス移動。
携帯電話網で110、119、118(アメリカでは911とかですが)と通話中に、固定電話に移ったりできない模様です。いや、というよりも、切れずに移行することを保証できないという事なのかもしれません。。。


2. 各アプリケーションサーバへのクライアントの登録方法
この辺はベンダー依存という事ですか。


3. Digit Mapの取り込み
どれかの端末で受け取ったDigit Mapを、通話と同じようにそのまま移行する事はできないので、どちらの電話端末にもそれぞれ個別にDigit Mapを渡さなければなりません。
ただし、携帯端末と固定端末では通話エリアが異なる事も想定されますので、必ずしも同一のDigit Mapでなければならない、という事はありません。


4. パケット交換方式や公衆無線網、WiMAXからのシームレス移行
回線交換方式の通話って、最近の携帯電話でもまだあるんでしたっけ?


5. eMTAか〜eMTA間のローミング
eMTAー携帯電話ーWiFiはOKですが、eMTA-eMTAという、固定端末同士の移行はできません。
というか、すでにPacket Cable 1.xで実現済みですね。


6. Packet Cable網と携帯電話網での、N-Way Callのシームレス移行
3者間通話などは、そのままシームレス移行できない模様です。
Call Waitingだとどうなんでしょうね。


以上です。
インターフェイス間のプロトコルなどについては、仕様書に書かれています(あんまり詳しくは載ってませんが)。

帯域幅とスループットの関係について

MULPIを書く!とか言いながら、半年もサボっておりました。ごめんなさい。

変調方式、通信方式、帯域幅それぞれにおけるスループットが知りたいとのご質問をいただいたので、復帰前のリハビリとして、以下、備忘録がてら。。。

計算式
Modulation Rate × Input Bit = Traffic Rate

1. Modulation Rate (S-CDMAの場合はChip Rateと言います)
200KHz : 160Ksps
400KHz : 320Ksps
800KHz : 640Ksps
1.6MHz : 1.28Msps
3.2MHz : 2.56Msps
6.4MHz : 5.12Msps
 
2. Input Bit
QPSK : 2bit
8QAM : 3bit
16QAM : 4bit
32QAM : 5bit
64QAM : 6bit
128QAM : 7bit (ただし1bitはTCMで使用されるので、実質は6bit)

つまり、TDMAであってもS-CDMAであっても、帯域幅と変調方式が同じならば、理論上のスループットは変わらないということになります。
例)3.2MHzで32QAMの場合
3.2MHzのMod Rateは2.56Msps、32QAMのInputは5bitなので、
2.56Msps × 5bit = 12.8Mbps
ということになります。

DOCSIS3.0仕様書がリリース!

8月4日付けでDOCSIS3.0の仕様書第一版がリリースされました。

DOCSIS3.0 PHY
http://www.cablemodem.com/downloads/specs/CM-SP-PHYv3.0-I01-060804.pdf

DOCSIS3.0 MULPI
http://www.cablemodem.com/downloads/specs/CM-SP-MULPIv3.0-I01-060804.pdf

DOCSIS3.0 SEC
http://www.cablemodem.com/downloads/specs/CM-SP-SECv3.0-I01-060804.pdf

OSSIは9月にリリースされる予定で、こちらにはIPv6などの規定が盛り込まれる予定です。
以下、PHYから要点を抜き出してみました。

1. 上り周波数帯域
今回より2種類の帯域が規定されました。
5〜42MHz
5〜85MHz

Euro DOCSISではこれまで同様5〜65MHzの周波数帯域となっていますので、〜85MHzは北米仕様のようです。(上りAmpを全部交換するつもりなんでしょうか?)


2. チャンネル仕様の細分化
今回より、チャンネル仕様はMULPIとして別文書で規定されるようになりました。この文書では主にMACレイヤーのコントロールが記述されています。


3. チャンネル幅の変更
TDMAでは200KHz〜3.2MHzまでが規定されていましたが、DOCSIS3.0からは1.6MHz〜6.4MHzのみが規定されています。
ただし互換性を確保する必要性から、200KHz〜3.2NHzのサポートもOptionalとして規定されてます。ひょっとすると、ベンダーによっては1.6MHz以下はサポートしないというところも出てくるかもしれませんね。


4. 上り受信レベルの変更
結構大きな変更です。

DOCSIS2.0 RFI 第11版
200KHz : -16〜+14dBmV
400KHz : -13〜+17dBmV
800KHz : -10〜+20dBmV
1.6MHz : -7〜+23dBmV
3.2MHz : -4〜+26dBmV
6.4MHz : -1〜+29dBmV

DOCSIS3.0 PHY 第1版
200KHz : -13〜+17dBmV(MAY Supported)
400KHz : -13〜+17dBmV(MAY Supported)
800KHz : -13〜+17dBmV(MAY Supported)
1.6MHz : -13〜+17dBmV(MUST Supported)
3.2MHz : -10〜+20dBmV(MUST Supported)
6.4MHz : -7〜+23dBmV(MUST Supported)


5. CMからの上り出力レベル変更
これまでとは違い、帯域幅によって最低出力が異なり、また、何波をボンディングするかによっても異なった値になっています。

DOCSIS2.0 RFI 第11版
TDMA 32/64QAM : +8〜+54dBmV
TDMA 8/16QAM : +8〜+55dBmV
TDMA QPSK : +8〜+58dBmV
S-CDMA All : +8〜+53dBmV

DOCSIS3.0 PHY 第1版
上り1波のみもしくはBonding Disableの場合
TDMA 32/64QAM : Pmin 〜+57dBmV
TDMA 8/16QAM : Pmin 〜+58dBmV
TDMA QPSK : Pmin 〜+61dBmV
S-CDMA All : Pmin 〜+56dBmV

2波Bondingの場合
TDMA 32/64QAM : Pmin 〜+54dBmV
TDMA 8/16QAM : Pmin 〜+55dBmV
TDMA QPSK : Pmin 〜+58dBmV
S-CDMA All : Pmin 〜+53dBmV

3波もしくは4波Bondingの場合
TDMA 32/64QAM : Pmin 〜+51dBmV
TDMA 8/16QAM : Pmin 〜+52dBmV
TDMA QPSK : Pmin 〜+55dBmV
S-CDMA All : Pmin 〜+53dBmV

Pmin
200KHz〜1.6MHz = +17dBmV(May Supported)
3.2MHz = +20dBmV
6.4MHz = +23dBmV


6. 下りチャンネルボンディングの規定
今回の目玉です。
Bonding用としてあらたにDBC(Dynamic Bonding Changing)というMACパラメータが追加されました。これまでのチャンネル設定変更はDCC(Dynamic Channel Changing)を使って行われていましたが、Bondingチャンネルの追加・削除はDBCを使って、動的に行われるようになります。これによって無停波でのチャンネル追加・削除ができるようになっています。


次回はMULPIについての解説を掲載する予定です。